デジタルとアナログの狭間で

文具、デジタルガジェット、お料理、そしてバロック音楽について浅く広く徒然なるままに書きます

万年筆を斬る! ~その4~

調子の悪い万年筆の調子を良くしたり、長年使っていてインクが出てこない万年筆を復活させたりするために「ペンクリニック」というものがあります。

 

有料無料を含めると今まで、

・PILOT のペンクリニック
・K-ITOYA の ペンケアルーム
・川窪万年筆店 の調整

の3つ利用したことがあります。

 

一時期、どうしてもすぐに調整してもらいたい時があったので、ネットで何度か名前をみかけた萬年筆研究会(WAGNER)への入会も考えたことありましたが思いとどまりました。
また、ふいにセーラー万年筆のペンクリニックにも出くわしましたが、見てもらいたいペンはあれど、あえて調整を申し出ませんでした。
例の大御所っぽい人がやっていたもので、あえて行かなかったというのが正直な意見・・・


皆さんいろいろお好み、考え方あるかと思いますが、私の場合一番好きで心置きなく大切なペンを預けられるのは
「PILOTのペンクリニック
なのです。

もちろん私がPILOTびいきということも過分に含まれていると思いますのでそれは否定はしません。

だからこそペンドクターの方と心が合う…と言えばいいのか以心伝心します。

 


今までPILOTのペンクリニックは何度もお世話になりましたが、やってもらったのは

「問題を解決するだけ」です。

 何を当然なことを言う・・・と思うかもしれません。

 

・掠れるから直す

・ペンポイントがゆがんでいるから揃えてもらう

・トラブルでペン先が変形しているので左右対称になるように直してもらう・・・

 

このようなことです。

 

インク流量については確たる好みがあるため、変えてもらうことはありますが、根本的に

「書き味を良好にするような処理」

について、出来る余地はあり、もちろん説明もしてもらいますがしません。

また、依頼主が現状に不満をもっていない様子だったら深追いしてやった方がいい?と強要してくることもありません。

私にとってココのさじ加減が大好きです。

 

 

「書きにくい」 というのは論外なので修正すべきですが、他のペンクリニックでは問題点解決の上に、最上の書き味になるように仕上げてくれるところが多いように見受けられます。

もちろんそれは良いことです。
端的な例では、最上の書き味にするために「削る」という改造に打って出るのです。


上をやってもらったらまるでF1マシンのような性能になるため

「すげー!万年筆ってこんな書き易かったのか!」

など、歓喜に満ち溢れること請け合いです。


調整師もユーザーが喜んでいる姿は本望でしょう。

またそれは、万年筆普及には願ってもないことです。

 

でも私の考え方は少し違っていて、1Fマシンはいらないんです。

どちらかといえば気心の知れた大衆車で長く使えたらいいんです

一定の書き味が持続するのがいいんです。

 

また、それぞれのペンの個性を重んじるゆえに、私は「書き味を良くする」改造は余りしてほしくない人間なのです。

私にとって書き味を良くするというのは、ヌメヌメヌラヌラの、俗に称されるペリカン万年筆化と言ったらよいのか?になってしまいます。

 

ペンクリニックは一様に書き味を向上させる役割を担っているので、書きにくいと感じた人はチャンスが訪れた時に行くべきだと思います。

 

逆に万年筆の書き味に自分の一定の好みが出てきてしまった人は行くべきペンクリニックを選んだ方がよいと思います・・・訪問前に知り得るのは難しいですが・・。

 

 

ペンによっていろんな書き味が好き・・・

 

例をあげるなら、私の好きな音楽はバロック音楽です。

どうやら万年筆の趣向もバロック=ゆがんだ真珠、のようです。

バロックでは「不揃い」を楽しむ節があります。

(説明したら長いのですが、フルートのご先祖様でバロック期に全盛だったフラウトトラベルソという横笛は、ドレミファソラシド各々の音はそろってないで違う響きを持っています。
現代のフルートではありえない仕様ですがバロック期の人たちはドの響き、ファの響き、各々の響きの個性を楽しんでいたのです)

 

カリカリなのも、サリサリなのも、ヌラヌラなのも全部好きなのです。

 

わざと調整仕切らないで貰ってペンポイントが盛大にズレたままの状態で使い続けている万年筆も愛用してます。

パイロットのペンクリニックでは、そんな欠陥万年筆でさえ、ご自分が気にならなければ or そんな特徴を気にいってればこれで使ってても良いと思う、と余裕な発言してきます。

そこが好きです。