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文具、デジタルガジェット、お料理、そしてバロック音楽について浅く広く徒然なるままに書きます

ニブについて ~ イタリックとカリグラフィー

今回はニブについて第二回。

幅広ペンについて、ミュージックは一つ違うジャンルのようなので、イタリックとカリグラフィーペンについて。

一般の小売店、どこぞやの万年筆研究会(多分日本のメーカーも・・)なんかでは、イタリックニブととカリグラフィーニブを同一視する向きがあるようですがここでハッキリ言います。

イタリックニブ と カリグラフィーニブ は違います。

とてもじゃないけどブログ程度の紙面で語りきれないので厳密な違いについてはここでは触れませんが、まず、とにもかくにも言えることは

筆記対象が違います。

イタリックは、その名の示すとおり、ローマンキャピタルから発展したイタリック体を書くことに優れているペンで、曲線を美しく見せることのできるペンです。

対してカリグラフィー用のペンはゴシック系書体では、アングルを美しく表現し、太い線と細い線のコントラストを限りなく大きく見せ、つなげるためでは無く飾りのセリフを美しく見せるペンで無くてはなりません。

そして、もう一つ違うのは

筆記スピード。

イタリックはローマンをもっと早く、なめらかに書けるように発展した書体なので太い線と細い線のコントラストよりも早く書けることが大切です。
なので日本語で言う連綿に近いセリフが存在します。 どちらかと言うと実際の生活の中で使うペンです。

対してゴシック体、(ハーフ)アンシャル体は保存を主旨とした筆記活動に多く見られる書体です。
スピードではなくて、如何に幅広とヘアラインの差を確実に出して細部にわたるまで明確に表現できるペンで無くてはならないのです。
更に突っ込むと、ペン先が真っ直ぐに走るジャイロ効果が出るような指向性も必要です。

となると、イタリックのペンポイントにはイリジウムがあった方が良いですが、カリグラフィーペンはペンポイントはあっても良いですがイリジウムの有無は問題ではありません。 ペンポイントの有無なんかより、如何に鋭利なペン先を作れるか? にかかります。

前述の会の一部の有力メンバーがイタリックのペン先と、カリグラフィーのペン先を同一視する発言していることから、影響を受けて誤解する人も多いと思うのであえてここで書き残しておきます。

ここまで書いておいて最後に付け加えますが、
どのみち、本格的にカリグラフィーをするとなると必ず付けペンとなるため、利用する上ではつけペン方式以外ではそんな厳密に規定する必要もありません。
カリグラフィーなんて好きに書けばよいことですし、使うペンの味を出せる文字を認めることのほうがペン先の形状よりも価値があります。

しかしながら、作り手は苦労してせっかく用途別に設計し、作り分けているので同一視して欲しくないのと、カリグラフィー向けではイタリックは書きにくい仕組みとなっており、それが原因で思うように書けないこともあるので知識の上では知っていてほしい事柄です。

ちなみに、ミュージックについては、「写譜ペン」なるものを模倣したのか、模倣されたのか?
これに関連しているようです。
でも、アメリカを除く海外の万年筆ではミュージックは余りみかけませんね?  私の興味不足なのか知識不足なのか・・・